マッドネス不覚のサード:『7』を駆け足でレヴューB面


'7' Madness
『7』 マッドネス


「プログレッシヴ・ロック」のダブ的展開とでもいうべき不穏なムードでA面を終えた『7』は、その救いなき陰鬱なカラーのままB面に突入する。とはいえむしろ、B面でもやはりグルーミネスの美のほうが他要素より勝ってはいるのだ。A面でもそうだったが、『7』でのマッドネスの「コミック・ソング」的な曲は音楽的に貧相で弱く、どこか笑えないジョークをうら寂しくしょうがなしに放っている感がある。褒めようと思えば無理矢理褒めどころを探せないこともないながら、ここでもそうした曲は容赦なくすっ飛ばすことにして、異例の短めレヴューとしよう。



7.(=B-1.)Grey Day
バーソンの曲。
陰々滅々たるムードと歌詞にもかかわらず全英4位のヒット・シングルとなった「Grey Day」は、アルバム中唯一バハマに飛ぶ前のイングランドでのレコーディングであることから、当初からサード・アルバムには「みんなに人気のハッピーなバンド」からの脱却がミッションにあったのかとも思わせる。実際、救いなくも労働者階級ユースのコンセンサスを獲るに優に足るエモーショナルな歌詞をダビーな実験的サウンドと演奏で入魂&新機軸として贈るこの曲なら、新たに目を留める新規ファンはいても離れる従来ファンは少なかろう。
曲全編にわたって効果音的に食い入ってくるニューロティックなプレイの生む、ザ・キュアの「The Lovecats」やザ・シャーラタンズの「Wierdo」などにも聞ける幽霊屋敷&吸血鬼ムーヴィー風味というのは、ゴシック愛好の先駆国イングランドらしいなぜかポップでノスタルジックなキモ気持ちいい快感要素であり、いわゆる「プログレ」のそれとは違う不穏美に貢献している。

11. When Dawn Arrives
トンプソンとバーソンの曲。
ファースト、セカンドの流れを多く効果的に汲む、このアルバムでは数少ない泥臭ジャズ/リズム&ブルーズ色の佳曲。殊に語りライム調ミドル・エイトの酒場ポップ・ムードにマッドネス印の最良の庶民ショウ・ビズ劇場感が出ていて、『7』にあっては貴重なライナスの毛布的小品。

12. The Opium Eaters
バーソン作のインスト曲。
「アヘン常用者たち」という物騒なタイトルで軽くサイケデリックながら、おマヌケな悪ふざけ感と典雅なサマー・ナイト清涼BGM感を併せ持つ不思議に気持ちいい洒落チューン。セカンドの最終曲「The Return of the Los Palmas 7」にも通じる洒落っ気とグルーヴを楽しんでの「お寝みソング」で閉め、といきたいところの筈なのだが、続く「Day On The Town」でむしろ中途半端感を残したままアルバムが終わる。



予想以上に苦痛なアルバム・レヴューとなったが、それはおそらくマッドネスを後追いで時系列で聴いていく新生ファンが感じるであろう苦痛でもある。(解散/再結成後の作を除くと)全6枚のマッドネスのアルバムの内、もっとも退屈と苦痛と物足りなさとガッカリ感をもたらすであろうのがこのサード:『7』なのだと、私はファンゆえの真摯さからことわっておかねばならないのだった。バーソン&トンプソン以外のメンバーの詞/曲貢献の小ささがこのアルバムの単調さと冴えのなさの由来であるとの予測は、続く『ザ・ライズ&フォール』で嬉しい方向に立証されることになる。


 


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