歴史に残るカナディアン・バンド:スローンはもっと評価されるべき!


'Twice Removed' Sloan
『トゥワイス・リムーヴド』 スローン


スローン SLOAN は '94年のセカンド『Twice Removed』からの、実は短いつきあいだったが、最近ひょんなことからYouTubeでいくつかの動画とファンたちのコメントでの盛り上がりを見て、少し厨二病的な何かが嵩じている。


このバンドについて語るべきトピックはたくさんあるが、初回の今日は出会いとなった『Twice Removed』をレヴューしてみよう。スローンの魅力を語るのにこのアルバムは最適でもある。


'94年発表のこのアルバムで如実に感じられるのは、リスナーとしてのメンバーの嗜好、特にリアルタイムでその当時よく聴き、場合によっては遊び半分に、場合によってはあらたなワザ、ロック認識として採りいれたであろう同時代の英米ロックと地続きの「カッコよさ」だ。曲のデキが粒ぞろいであるのに加えてこのアルバムの聴きやすさ、ノリやすさ、好きになりやすさの一端となっているのはドラムのノリだ。もっとも強く感じられるのはやはりザ・ストーン・ローズィズの1st('89年 エポニマス)からの影響 ― シャッフルする16ビート、もしくは16認識、だ。


文字通りの16ビートのみならず、8ビートの中に内在する16ビート認識というのは実は'60年代ロックからしっかりあるものだが、ローズィズほどロック/ポップに、すなわちプロパーなダンス・ミュージックやダンス・ロックでないチューンに、巧みにしかも自然に誰にでも即座に理解できる形で、16ビート/16認識を仕込んだロック/ポップ・バンドはそういない。時期的に伝播ルート的にその影響を拡大解釈するのは危険かもしれないがニルヴァーナの『ネヴァーマインド』やアージ・オーヴァキルの『サチュレイション』さえ、そうした16認識が当時のロックの最新型として猛威を奮った結果として表れたといってもいいかもしれない。


閑話休題。スローンがローズィズを聴いて/好んでいようといまいと、このアルバムで聴けるドラミングは当時の英米ロックの一流どころと比べても遜色ない、どころかある意味凌駕しさえする見事さ楽しさに満ちている。そして驚くべきことに、このバンドでは「ドラマー」はけっして一人ではないのだ(後に詳述、ここでは省く)。


もちろんドラムばかりではない。ギターのカッコよさも特筆しておこう。最低でも2人、数えようでは4人のギタリストがいるこのバンドの、このアルバムで聴けるギター・プレイのカッコよさは、曲主体、曲のムード/グルーヴ主体でロック/ポップを聴かない人には伝わりにくいかもしれない。ざっとの連想で名前を挙げれば、テレヴィジョン、モビー・グレイプ、XTCあたりが浮かぶが、けっして似ているわけではない。複数の志向のちがうギタリストがあくまで曲主体でそのギター・プレイを分け合う時に出てくる個性のぶつかり合いと混じり合いと協力体制に通じるものがあるのだ。


小出しにしてきたが、結局のところこのバンドの魅力の根幹は、4人のソングライター、ヴォーカリスト、プレイヤーが驚くべき共存体勢の内に協力し合い、そしておそらくそれをみんなで楽しんでいる、という点にある。すでに十分すぎるほど長くなっているので次回、曲ごとの詳解とともにその魅力にさらに迫ってみよう。





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