ザ・ヘラコプターズ「Toys And Flavors」— パワー・ポップの魔術師#3


"Toys And Flavors" The Hellacopters
「トイズ・アンド・フレイヴァーズ」 ザ・ヘラコプターズ


パワー・ポップの傑作を渉猟する途にシンプルなものはない。パワー・ポップを最初から志しパワー・ポップだけに精進し順当に素晴らしいパワー・ポップ・バンドになる — そんな事例こそむしろ皆無に近いからだ。たとえばバッドフィンガー、マシュー・スウィート、スローン、マテリアル・イシュー、ザ・ポウジーズあたりをアルバム単位で買っていけばそこには珠玉のパワー・ポップがボコボコみつかるものだろうか。けっしてそんなことはない。パワー・ポップの生まれる法則・土壌には、とても予想がつけがたく、むしろ突然変異的な突発性のファクターがつきまとうのだ。



'94年結成のスウェーデンのバンド:ザ・ヘラコプターズは私の射程内にはまったくいなかった、それゆえに尚更嬉しいみっけものだった。はてなハイクでのid:dai6tenmaow氏のエントリによって偶然出会ったものなのだ。それはニルヴァーナやアージ・オーヴァーキルやジェットとのブラインド状態での出会いにも似て、ハード・ロック/ヘヴィ・メタル的サウンド/フォーマットの表層を超えて確かなパワー・ポップ性を伝えてくるものだった。



その1曲、2000年発表の「Toys And Flavors」を無視する/嫌うことができるとすれば、私はその人物のパワー・ポップ認識を疑わざるを得ない。反対に、ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」をアージ・オーヴァキルの「Sister Havana」をラジオ/街角/テレビでの一聴で捕捉した人ならば、雷に打たれるようなあの「発見の喜び」を文句なしに感じとれることだろう。ハード・ロック/MC5直系というよりはアージに激似の粘り腰とタイトさの同居するディストーション・ギター。あくまでタイトでスピード感のあるドラム。1パートの無駄もない完璧なポップの曲構成。ダークで不穏にして痛快なロックンロール・フィーリング。オーストラリアで辺境のリスナー環境にあったジェットがディープ・パープルから完璧な最新型パワー・ポップを醸成したあの感動と不思議がここにもあるのだ。



残念なことにザ・ヘラコプターズは既に解散しており、そうでなくとも果たしてパワー・ポッパーがアルバム単位で追うべきバンドかは判らない。が、しかし、史上屈指の傑作パワー・ポップ「Another Girl, Another Planet」のジ・オンリー・ワンズでさえそれを言うなら同様なのだ。パワポ道は遼遠にして至難にしてミズモノ — こういう名曲に出会うたび、その感を新たにせざるを得ない。





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